ぼやき

主にセルティックスについて徒然なるままに日暮らしスマホに向かいて心に移りゆくよしなし事そこはかとなく書きつくるブログです。

養殖しよーぜ!

こんにちは。

 

またかなり久しぶりの投稿になりましたね。

続かないんですよねこういうの。

 

今回は何の話かと言いますと…

 

 

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「養殖産と天然産、どっちが良いの?」

 

という話です。結論から言っちゃうと、我々消費者目線では養殖の方がいいと僕は思っています。

なぜ僕がそう考えるのか、長くはなりますがお届けしていきます。

 

ちなみに写真は去年実習で僕が行った新潟県の漁協のセリの現場です。写真撮っていいって許可あったので撮っときました。

写真は無断転載しまくってるんですが怒らないでください。これで収益は得てないので。

 

また、今回は沖ノ鳥島回と同様事前にアンケートを行いました。

めちゃくちゃざっくりと、養殖と天然どっちの方がいいイメージがある?とだけ聞き、コメントしてくださった方の意見はおもしろいのが多いのでそのまま引用させていただきました。ご協力ありがとうございました。

 

先にアンケートの結果だけ載せておきますね。

養殖      23%

天然      49%

どっちも同じ  28%

(113票)

天然の方が良いイメージを持たれてるんですね。まあ大方予想通りです。

 

漁業の歴史と養殖のはじまり

 

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人類が文明化する以前、食糧の調達は狩猟、漁労、採集に依存していたことはご存知ですね?やがて農業が発展し、作物を飼料に畜産業も発展してきました。

一方で、漁業がそれらと比較し発展が小さかったのには訳があります。それは、言ってしまえば必要がなかったからです。水産物の特徴として、腐敗性が高い、つまり傷みやすいというものがあります。その日に食べるものをその日に調達していた時代ではそれでよかったのですが、動物性のタンパク質は、家畜として飼育している陸上の動物から取る方が安定性、安全性の面で優っており、獲れる量がわからない漁労に頼る必要がなくなりました。まだ「村」や「集落」の単位で人々が暮らしていた時代は、その土地の気候や自然環境に合わせ、漁労が適している場合もありましたが、時代が進み、地域間の交易が行われるようになると、腐敗性の高い水産物は他の食糧に淘汰されていきました。

もちろん、この腐敗性が高いという問題に対し、乾燥させたり、塩漬けにしたり、なれ鮨(現存の鮒鮨に近い)に加工したり、とさまざまな工夫はされてきました。しかし、それらの工程を踏む必要のない他の食糧の方が好まれていたのは言うまでもありません。

漁業が発展し始めるのは江戸時代になり、ここで初めて村、集落ごとに現在の漁業権のようなものが整備され、また漁網の改良、干鰯としての利用など、ようやく日の目を浴びるようになりました。

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明治期になると漁業にかかわる法整備がなされ、船の改良や保存技術の向上などを経て、沿岸域の主要な産業へと成長しました。

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と、ここまで読んでいただければ分かるように、水産物はぶっちゃけ「なくても困らない」もので、現在のように生食をすることはもちろん、沿岸域以外の地域では水産物を食用とする文化は主ではありませんでした。まあ、そもそも動物性タンパク質を食べる文化があまり根づいてなかったんですけどね。

 

では、養殖はいつ頃に始まったのでしょうか?

近畿大学の村田修教授によると、1954年に香川県でブリの養殖を始めたのが起源であるとしています。翌年からカンパチ(統計上ブリに含まれた)とシマアジの養殖も始まりました。マダイは研究自体は1930年代から始まっていたものの、事業としては1965年に開始され、1980年代にヒラメの養殖も始まりました。

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こうやって並べて見るとわかるように、まだまだ新しいんですよね。また、ご存知のようにマグロやウナギの養殖にはかなり高度な技術を要したため、これらが成立するのはもう最近の話になります。

養殖が始まった1950年代の主要な漁業は沖合漁業や遠洋漁業でした。今さら沖合漁業や遠洋漁業の説明はいりませんね?笑

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上の図は水産省から引用したものです。一度は中学の社会の教科書なんかで見たことはあるグラフですよね。

僕らの世界では常識なんですが、国連海洋法条約の大陸棚に関する規定やEEZ排他的経済水域)の策定は1980年代に本格的に開始され、日本では1988年をピークにこれらの漁業は縮小していきました。

また、日本の捕鯨についても国際的に非難され始め、言い方は悪いですが、ついでに遠洋でのクロマグロの漁獲にもその非難が飛び火してきました。

こうしてどんどん窮地に立たされてくる日本の漁業の改革の一手として、さまざまな種類の水産物の養殖が研究されていきました。

今となってはフグやサーモン(厳密にはサケではないです)が陸上で養殖できたり、貝類やコンブなども養殖で生産を安定させていたりと、養殖は欠かせないものになりました。

 

天然水産物はなにがいいの?

 

天然のマグロです!

って言われたらなんか美味しそう、って思いません?言葉の問題なのですが、天然の、という枕詞がつけば新鮮さであったり、高級感であったり、少なくともその品質にネガティブなイメージを持つ人はいないでしょう。天然水産物の良さはまさにそこにあります。

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では事前にやったアンケートの答えを抜粋して、天然の方がいいという意見を見てみましょう

まずは1人目、おそらく東京都在住20代のMさんより

天然です。子どもの頃から養殖ばっか食ってきたので天然ってかっけえし憧れてるからです。あと舌の肥えてそうなジジイは天然がすきなのでそこも憧れ補正がかかってます。僕は実際同時に食って味比べたことないのでどっちが旨いかわかりませんし、魚買うとき環境の事とか頭に浮かべないのでただ憧れです

ごく一般的な天然の水産物に対する印象かなと思います。消費者の目線だと、やはり天然は高い、養殖は安いという構図ができていますよね。何がいいのか知らないけどとりあえず天然にはいいイメージがあります。

続きまして、近々インドに行く予定だったけど某ウイルスでどうなったかわからないHさんより

どちらにいいイメージを持ってるかと言われたら、天然。
どっちが良いかは、どっちもいいかな〜。
牡蠣とかだと養殖のが、身の大きさも安定してるし、
安定感は養殖ってイメージかな!

ただ、天然!真鯛の〜とかって書かれるとやっぱりお店で頼んじゃう

そうですよね、天然の!ってなるとなんか引っ張らられますよねー。これも一般的なイメージだと思います。

では次のコメントを。東京在住そろそろ20代のSさんから、

天然だと厳しい環境で育ってるからその分味も美味しそうなイメージです

続けて、東京都在住の蛾から

結局天然の方がおいしい。脂のノリが引き締まってる感出ててそっちの方が好きです。

続いてTさんより

天然派

味で見たら天然。
 狭い枠の中を泳いでる洋食よりも大洋を泳ぐ天然の方が身が締まるってどこかで聞いたからです。

環境を考えたら養殖
 天然を乱獲すると極論絶滅に繋がるけど、養殖はその流れに歯止めをかける素晴らしい技術だと思うから。

調べないで書いたので間違いがあるかもです。

というように、質は天然の方がいいってイメージを持つ人が多いですよね。

 

しかし、実際天然の水産物は養殖産に比べて品質が良いかといえば、必ずしもそういうわけでもなく、マダイやヒラメ、カレイなどは正直違いがほとんどわかりません。ワカメやコンブ、貝類、ウニなどに関してはもはや何が違うのかもわかりません。

では、天然の水産物はどういったところに需要があるのでしょうか。

ひとつ、イメージしやすいのは豊洲市場の初競りのマグロです。某なんとかざんまいが毎年最高値でマグロを競り落とし、築地の店舗でマグロの解体ショーをやっていますよね。あれはマグロそのものにあんな億単位の価値があるのではなく、マグロを使ったパフォーマンスとしての額であることは容易に想像できると思います。天然の水産物はこのように「付加価値」がつく、というのが特徴です。

この「付加価値」の代表的な例がブランド水産物です。聞いたことありますかね?

主なものでいうと、大間の本マグロ、関サバ、下関フグ、越前ガニなんかはもうめちゃくちゃ有名ですよね。ここに挙げた4種類はその地域にしかいない種ではありませんが、その地域で伝統的に行われてきた漁法や加工技術、調理方法など、文化的財としての側面を持っています。これらの4種とは対照的に、地域の漁業経営体や漁業従事者らによって、マーケティング戦略の一環として練り上げられたブランド水産物も存在し、近年の天然水産物業界ではとてもホットな分野です。この話は大事なので後でもう一度触れます。

 

さて、天然水産物の最大のメリットが、品質に関してのイメージや、味だけでないエンターテインメント性を含むというような、「付加価値」を創造することである、と説明してきましたが、その付加価値にはどういった効果があるのかといいますと、水産物そのものの単価を上げることです。品質は変わらなくても、付加価値がつくだけでその水産物の値段は上がります。簡単な話ですが、単価が上がると、同じ量しか売れなくても利益は上がりますよね。つまり、ある一定の量を売れるという確証さえあれば、多少値段が高くなってもそのまま利益になるのです。

話をまとめると、天然水産物は「付加価値」により単価を向上させ、漁業従事者の利益をより多く生むことができるのが一番大きなメリットだといえます。

実はLさんからこんなコメントがありました。

天然産
正直目隠しされて食べさせられたら僕は養殖か天然かわからないと思います。なので「天然」という付加価値(主観)だけで決めてます。ですがなんで天然というレッテルに付加価値がつくのかはわかりません。多分名前の響きだけです。響きで言うと天然の方がカッコいいと思います。

ほぼ僕の文脈と同じこと言ってる!!!

僕が寝ぼけて他人のフリして送ったのかな?ってぐらい。

なんで天然に付加価値がつくのかは、説明したように、文化的な側面を持つからです。まあこれは僕の考えなんで専門の論文とかではまた違う説明されてるかもしれないんですけど、僕が納得いったのはこれでした。

さらにすごいのがありまして、風俗ライターの方からなんですが、

①いろんな魚に商品価値をつける、という意味なら天然

で、
②同じ魚を比べるのなら養殖

ていうのが私の答えになると思う

そう!そうなんです!天然の水産物に関して言いたかったことはこれ!

あと続けてこんなことも。

私にとって、天然と養殖の最大の違いは、「外道」があるかないかであり、「外道」を排除して、そこそこレベルの高い個体を安定して売ろうとするのは、プロのなせる技だと思うし、天然にこだわり「外道」な個体が獲れても、商品価値を少しでも高くするのもプロの業だと思う

何気なく仰ったんだろうけど、これは本当にそうで、あんまり市場で流通しない魚は安価ではたるものの廃棄せず給食に回ったり、本当にどうしようもない魚(サメとか)でさえ、すり身になって色々加工されるので、そういうところが天然水産物のおもしろいところかなと。

 

ただ、これって消費者的にはどうなんですかね。例えば、スーパーの魚が全部天然の魚になった世界を想像してみてください。高くて魚食べなくていいやってなりそうですよね。

実際Yさんからこんな意見も届きました。

スーパーの買い物でも、客が気にしているのは値段だけの印象があった。なので、水産物では養殖か天然かで味や安全面で大きな違いはないと思った。(大間の本マグロのような一部の特産品だと比べるのであれば話は別だと思うけれど)

そうなんですよね、庶民的な食生活の中に取り込むには値段的に天然じゃなあ…ってのが本音です。

 

なぜ養殖をするのか

 

そこで養殖の出番です!

 

そもそも、です。漁業の歴史を説明しましたが、漁業以外の一次産業で、天然の生産物で成り立っているものなんてありますかね?

野菜も米も品種改良を重ねられた結果が今の状態ですし、畜産業も漁業でいう養殖みたいなもんですよね。

林業だって適当に生えてるやつを切ってるわけじゃなくて、計画的に植林や間伐を行っています。

そういう意味ではかなり漁業って特殊ですよね。

 

ということで養殖について見ていきましょう。

まず、養殖への肯定的な意見がコメントでは多数寄せられたのでいくつかご紹介。

まずはUさんから

養殖☝️
人の手で栄養などの管理がなされていると、天然に比べてより安全だし味や栄養価が安定していて良さそう…とはいえ天然を選ばない理由にはならないので、安価で手が出しやすいからが第一。
畑は違えど畜産業や農業にも通じてる価値観かも?>人による管理

そうそう、畜産業とか農業とかと変わらんのよね。

次!僕のお隣の大学のGさんです。

ようしょくです。おいしくて安いからです。

学生が魚を日常的に食べようと思うとそういう目線がごく自然な気がします。

次!Mさんからです。先ほどのとはちがうMさんです。

養殖産
どこでどのように育っているかが明確で寄生虫などの心配もあまりないってどっかに書いてたような

ということで、まずここから触れていきましょうか。

養殖の最大のメリットは生まれてから出荷まで全て人の手で管理し、常に状態を把握できることです。これまた水産物の特徴である「不確実性」というものがありますが、養殖の場合はいけすに行けば魚がいるので、不確実性を解消することができます。

また、人の手で常に管理しているので、例えば魚の大きさがある程度見栄えがあり、また梱包しやすいサイズで出荷できるように調整することができます。飲食店やスーパーでは全てをグラム単位で販売することが難しいため、これはかなりありがたいことですね。

これに関してこのようなコメントがありました。

これまた別のMさんからです。

養殖は人が管理してる分有害物質が入らないように育てたり重さを調整したり種類によっては天然より味を美味しくできたものだってあるし値段とか安全性とか大きさとか色々調整がしやすい点だと考えてる

ということで、まず言いたかった養殖の最大のメリットは「規格を統一することができる」ことでした。このコメントをもう少し掘り下げてみましょう。安全性という言葉が出てきています。この安全性とは、おそらく人ではなく食材の衛生面の安全性の話でしょう。だからさっき漁業の歴史で僕が書いた安全とはまたちがう意味なので、誤解のなきよう。

養殖産の水産物は本当に安全なのでしょうか?

こんなコメントがありました。先ほども出てきたYさんです。

農産物であれば害虫、畜産物であれば病気がリスクとしてある。それに対処するために農薬、抗生物質が使われ、食の安全性の問題がたびたび取り上げられてきた。それらに比べ水産物寄生虫以外で安全面が心配されたことは世間一般的にはなかったと思う(僕が浅学なだけかもしれないけど)。

これね…。残念ながら、魚にも病気があるんです。しかも、病気は養殖の方が深刻になりやすいです。

 

ちょっとわかりづらいので人に例えて考えて見ましょう。天然の人は世界中を動き回っています。人はめちゃくちゃ多いですが、その分世界もめちゃくちゃ広いです。兄弟はたくさんいましたが、病弱なやつや、生存能力のはないやつはみんな小さいうちに死んでいきました。誰かに会うことなんて滅多になく、もし自分が病気になっても、1人寂しく死んでいくことでしょう。それに対して、養殖の人は密閉、密集、密接のいけすのなかで一生を過ごしています。一緒に生まれた兄弟の大半は生き延びており、中には病弱だったり身体の弱い兄弟も、育ててくれる漁師のおじさんのおかげで一緒に大きく成長しています。とても平和な空間に見えますが、これは本来自然の中で淘汰されていくべき存在が生き残って「しまっている」状態です。かわいそうですが。加えて三密の空間です。某ウイルスがこの平和ないけすの中に入るとどうなるかわかりますね?病弱な兄弟が感染し、やがては元気もりもりだった兄弟にまで…。しかも同じ親を持つ者が多いので、持っている抗体も似たようなものです。1人病気になったらみんな病気になっちゃいます。

 

というようなリスクが養殖にはあるのがお分かりいただけましたでしょうか?

 

この点を指摘したコメントは実はありませんでした。まあこれは僕らの専門領域なんで、一般的に周知されているなんて思ってないですし、むしろそういう一般的な認知と専門的な見解との齟齬を少しでも解消しようとしたのが僕がこれを書き始めた動機なので…

ということで、残念ながら病気のリスクは養殖の方が高いです。あらまあ!

 

あと、度々出てくる「養殖の方が安い」というの。これも指摘がなかったんですが、実はあんまり変わりません。いや、買うときは確かに養殖の方が安いんですが、それは天然のときに説明した付加価値の差で、魚一匹あたりにかかるコストを比べれば実はあんまり変わらないんですよね。養殖がそれでも儲かってるのは薄利多売のシステムができてるからで、回転寿司店やよくあるその辺の居酒屋やスーパーなんかが大量に買ってくれるから成り立ってます。

 

で、それを目にして我々は養殖産の水産物を安いと感じてるわけです。拙い文章ではありましたが、仕組みが伝わりましたかね…?

学校のレポートとか論文ならちゃんと構想練って書くんですが、このブログは思いついたことをだらだら書いてるだけなので()

 

あれ、ちょっと待てよ、養殖全然いいとこなくない?

 

 

 

 

 

そこで生み出されたのが近大マグロです。

あれはちょっと成功しすぎた例なのであまりよくないのですが、代表的なのはあれです。

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近代の養殖場がある和歌山県民Tさんより

どっちにも良さはあると思うけど、近大の養殖シマアジはホンマに美味い

そう、ホンマに美味いんですよ、近代の養殖魚。これはなんでかっていうと、本来めちゃくちゃ運動量の多い魚を狭い空間に閉じ込めることで運動量を制限し、ぶくぶく太らせることで天然ではありえないぐらい脂の乗った魚はができあがるわけです。

この他にも、Iさんより

近大、信州サーモン、温泉トラフグ等を考えると養殖。

というコメントをいただきました。

信州サーモンは、長野県の水産試験場で産まれた魚で、2014年に商標登録されています。まさかコメントで出てくるとは思いませんでした。信州サーモンの何がすごいかって、ニジマスのメスと、ブラウントラウトという外来種のオスを掛け合わせた、いわば交配種なんですよね。これは天然では絶対に作り出せないもので、従来では除け者でしかなかった外来種の利用法を見出したものでもありました。山間部でも養殖することができるため、環境への負荷は小さく、また海が近くになくても新鮮な状態で流通させることができます。内陸部での回転寿司で一番美味しいのはサーモンです。一番新鮮だからです。みんな回転寿司行ったらとりあえずサーモン食べようね!

また、温泉フグとあるように、なんとフグまで陸上で養殖ができるようになっちゃいました。しかも、フグといえばテトロドトキシンという強力な毒を持つことで有名ですが、これは天然で育った個体が食べてきたものに由来するので、養殖し餌の管理をすれば、毒を持たないフグが完成します。これは大革命ですね。下関フグは天然のものから徐々に養殖のフグへとシフトしてきており、まあ大変なことに。

他にも、養殖エビは出荷前に絶食させることで背腸のない状態で出荷できたり、もうほぼ養殖でしか使ってない海苔だったり、養殖が天然に劣っているなんてことは全然ありません。

 

 

 

で、結局どっちがいいの?

 

こいつそろそろ自分の意見言えよって思ったそこのあなた!言いますよ!言います!

 

それはね。どっちもいいのよ。どっちかにしようなんて馬鹿げた考えです。

 

そのくせなんであんな質問したかって?そりゃ物事には色々な立場というものがあり、それぞれの立場に立って考えることが大事だからです。

始めに僕は消費者目線では養殖の方がいいと言いました。それは、これを読む多くの人が消費者だからです。漁業者の目線や、我々のような水産業の研究をしている人の目線なんて、気にしなくていいからです。逆にいうと僕はその一般的な消費者の目線を知りたかったんですよね。

あ、ちなみに調理する方の目線からはこんな感じでした。

また別のMさんより

僕は天然かなぁ
餌と運動量の関係で脂の質が天然物に比べて、養殖は劣るかなぁとは思う。
生食の場合、養殖は脂がノリ過ぎ、少し臭みを感じるかな
でも天然でも外れはあるし、安定感は養殖モノ
脂のノリも長所と捉えれば、加熱しても身がパサパサにならないし、扱いやすさはやっぱり養殖かも笑

僕は馬鹿舌なので脂の質なんてわかりません。最近は舌が老いてきたので脂ギッシュなものよりも淡白でさっぱりしたやつの方が好きになってきました。でも調理する側の目線だとこうなんですよね。

もう一つ。Aさんより

天然のブリ捌いててクソでかい糸状虫出てくるとムカつくから養殖でw

天然のブリ食べたいっす。

僕はお魚が好きですが、この好きという感情は恋愛感情に近く、ずっと眺めていたい、ずっと近くにいたい、食べてしまいたい、などといった感情を伴っています。ですので、調理や釣りなどはあまりしません。こういう別の立場の人の声を聞くのが結構楽しかったりします。1人ぐらい養殖のいけすの魚と天然の船釣りの魚の釣り心地の違い言って欲しかったなとは思いつつ。

 

また、いつも通り狂った意見もありました。

そろそろおじさんになってきたKさんより

じゃあジム行く?

 

 

 

は?

 

 

 

 

 

 

 

は?????

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

はい、あと前回沖ノ鳥島が島か岩かって聞いてんのに鳥って答えたCくん(20代・自営業)は

ドッニチモオナジイノチ
トオトイイノチ

ボケてるのか真面目なのかわからんボケをぶっ込んできました。

 

もうちょいがんばれ。

 

空リプを飛ばしてきたFさんは

僕は強者を喰らってより強者になるタイプなので、平和に育てられた養殖より過酷な海を生き抜いた天然を食べたいです。

中二病くさいことを言い始めました。

 

こんな狂ったフォロワーに囲まれて僕は楽しいです。

 

 

 

で、話を戻しますと、どちらにも良さがあるというのが僕の意見です。ずるいよ!って思うかもしれませんが、それぞれは水産業というひとつの産業の中の武器でしかないのです。2つの武器をひとつ選ぶより2つ持ってた方が強いですよね?

 

そこで重要になってくるのが、目的を明確化させることです。天然の水産物は思い切って高級嗜好品として振り切り、養殖は先ほど述べた特性を生かし、天然ではできないことをする、というように、それぞれの良さを生かした戦略を立てることが重要になります。消費者は安いものに、質の良いものに飛びつきます。中途半端なものは一番売れません。

100g500円のステーキ600g

100g1000円のステーキ300g

100g3000円のステーキ100g

それぞれ3000円握りしめるとスーパーの肉、いき〇りステーキ、おしゃれなレストランで買えますが、一番売れないのはいき〇りステーキですよね。売れてないですもんね。

 

おっと、話がそれましたが、水産業界は今、どの一次産業も抱えている問題である、高齢化が進んでいます。漁業人口が減少し続ける中、産業として存続していくには、漁業従事者を増やすのももちろんですが、漁業で儲かるシステムを作らないと意味がありません。

ということで、これから養殖と天然の水産物をそれぞれ生かして、漁師さんたちにはがっぽがっぽ儲けてもらいましょう。

 

 

 

 

 

 

今回はこれで以上です。気づけば1万字近く書いててびっくりしました。あはは!

またこういう感じで何か書こうと思うので、これ書いて!とかあればコメントお待ちしております。Twitterでシェアするのもお忘れなく!←